やけ食いで太る真実とは?

こんにちは。
美容精神科医の茂木千明です。

先日こんな質問をいただきました。

ストレスがかかったときに、太る人もいれば太らない人もいると聞きますが、この両者の違いってどこにあるのでしょう?

はい、結論から言いますと
何に駆り立てられて食事を摂るのか?
これに尽きるでしょう

そんなの空腹に決まってるでしょ??
と感じる方もいらっしゃるかもしれないので
ストレスへの反応について触れながら解説をしたいと思います。

ストレスへの反応


人はストレスを受けると、脳内でストレスホルモンが分泌されます。
このストレスホルモンは食欲を亢進させる作用があるため、炭水化物や脂質などハイカロリーな食べ物の欲求が高まります。
これは生理現象なので、性別や年齢問わず誰にでも起こりうるものです。

ただこれはあくまで欲求が高まるということだけなので、それだけで体重が増えて太るということはありません。

その欲求に対してどのように行動するか??
それによって、その後の結果が変わってくるということは明白ですね。
つまり、その欲求そのままに行動するかどうかがポイントとも言えるでしょう。

食事をとるきっかけは2パターンに分かれる


食事をしようと思うきっかけや基準は2つに分けることができます

✅生理現象ベースで食事をする
=お腹が空いたから食べる / お腹がいっぱいになったから食べるのをやめる

✅感情ベースで食事をする
=食べたい(正確には何かを口にしたい)という欲求があるときに食べる

ちなみに皆さんはどちらでしょう?
ケースバイケースで両方とも・・・という方もいらっしゃるとは思いますが、主にどちらが多いかを思い返して下さい。

実は前者の場合は太りにくい、後者の場合は太りやすいとされています。

その理由ですが・・・
感情ベースで食べる習慣がある方は空腹や満腹の度合いに関わらず食べてしまいがちです。お腹はいっぱいだけど食べ続けるという本来の人間の在り方を失っている…そんな怖い言い方もできるかもしれません。

このやけ食いのことを専門用語で感情的摂食と呼びます。
この感情的摂食は習慣化することが知られています。ほぼ悪癖ですね。
最悪なことに、習慣化した感情的摂食に対しては徐々に脳内の報酬回路が働かなくなります。
簡単に言えば、食べてもストレスは解消されないわけです。
そうなると、更に食べる量を増やそうとする悪循環に陥ることも!?
残るのはやけ食いの癖と増えた体重だけという悲しい結末に・・・

ちなみにストレスで食欲が亢進すると言いましたが、女性の場合は女性特有の日でもホルモンバランスが乱れ食欲が亢進しがちです。詳しい説明は避けますが、生理特有の食欲亢進は一時的で習慣化しなければ特に気にすることはありません。オススメはダークチョコレートなどで脂質は摂取しつつ、身体へのダメージを最小限に抑えておけば良いでしょう。

感情的摂食への対策


残念ながら習慣化したやけ食いは簡単には抜け出せず、地道に習慣を修正していくしかありません。
ただ習慣化したものを急に止めることは、それ自体にもストレスを感じるため、差し当たり対策するとしたら以下3点でしょう。
1 ハイカロリーの食べ物をやけ食いする前に千切りキャベツ等をやけ食いする。
→胃に食べ物が入りにくくしてしまう

2 どうしてもハイカロリーの物を食べたい時は誰かとシェア!
→一緒に食べようとすると迷惑をかけるかも・・・と思いがちですが、実は案外大丈夫!
なぜなら、周囲の人も何かしらストレスは抱えているため、シェアすることは需要と供給が成り立つからです。
私もスタッフルールで、スタッフとともにちょっとガス抜き(同僚や上司の悪口など言いながら)しながら、お菓子をポリポリ・・・というのもしばしば見られる光景です。
といってもあくまで一過的な息抜きではあるので毎日のように行うべきことではありませんが、それでも夜一人でやけ食いするよりかは、みんなで共有&分散しながらの方が健康的と言えるでしょう。

3 味わって食事を楽しむ
かの有名な千と千尋の物語に出てくる、顔なしを思い出して下さい。
顔なしは暴飲暴食してお湯屋をメチャクチャにするシーンが出てきます。
あの時の顔なしはまさに感情的摂食と言えるでしょう。
ただその後、銭婆(湯婆婆の姉)の家でゆっくりと紅茶を飲みながら大事に一口ずつ出されたケーキ食べるシーンが出てきます。
些細なシーンですが、フォークで大事そうにケーキを食べる顔なしが非常に印象的でした。心が満たされるのはどちらか、答えは明白でしょう。

食べる行為は体型や健康面だけではなく、メンタルヘルスにも影響を及ぼします。
正しくて良い習慣を身につけるとともに、やけ食いから脱するためにも新しい(かつ健全な)ストレス解消方法を別途見つけていきましょう。

○ストレスで痩せる人は要注意
最後に、精神科医として一つ忠告をお伝えしたいと思います。

今回、ストレスで太る方と太らない方について触れましたが、時々痩せる方もいらっしゃいます。
痩せれるならそれは嬉しい!
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこれは非常に危険なことです。

ストレスで痩せるということは食欲が失せてしまっているからなのですが、当然人間は食べ物を摂取しなければ生きていきません。
そのシステム(生理現象)が崩壊しているのであれば、これは何かしらの精神症状や身体疾患を疑うべきレベルと言えるでしょう。
ストレスで太った!というのと痩せてしまった!というのは、重症度が違うと考えてください。
もし、ご自身や周囲の方がストレスでどんどん痩せていくのであればそれは危険信号だと認識しましょう。
SOSを出すか、周囲にいたら声かけして介入してくことが必要です。

いきなりクリニックや病院に行こうといってもそれはビックリするでしょうから、まずは誰かにその状態を俯瞰して意見をもらうようにしましょう。
私がそうした方を診察する場合は十分にヒアリングした上で、ストレス源から距離をとり、まずは休息を勧めることが多いです。
また心配であれば身体疾患の可能性を鑑み、検査等を受けてみることもオススメします。

ストレスで痩せる場合は黄色信号!と覚えておいて下さい。

まとめ


やけ食いで太る仕組みについて、ストレス反応を交えて今回解説を致しました。
一過的なやけ食いは悪いとは言いません。
ただそれだけに頼って習慣化してしまうことは心身共に健康を害するリスクもあるため、注意が必要でしょう。
食事をするなら、むしろそれを楽しもう!新しい体験をしよう!
そうしたワクワク感をもって行っていただければ幸いです。
茂木千明

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